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小山実稚恵


リサイタルに行った。
おもしろく、おそろしく大胆な企画の第3回目である。

彼女は12年計画、年二回公演で全24回の
リサイタルをプログラミングした。

毎回のテーマを決め、それにあった色をイメージし、
その色のドレス、舞台の花、プログラムで
コンサートを行うというもの。

一般的に、その時のテーマは決めることがあっても、
12年先の曲目まで全て決めてリサイタル、なんて
信じがたいこと。
決めて公表したらやらなければならない。
それも狙いかもしれないが、実行することは狂気に近いかも。。。

今回は萌黄色。
「うつりゆく情景」

ハイドン    アンダンテと変奏曲
ウェーベルン  ピアノのための変奏曲
シューマン   子供の情景
ムソルグスキー 展覧会の絵

ハイドンのこの曲は昔、ラローチャの演奏で
感激した覚えがある。
弾きたいとおもいつつ、まだ楽譜も手に入れていない。
いつか、とは思っているが、
思っているだけでは「いつか」は来ない。

今回の彼女は前2回と違っていた。
もちろん、前も素晴らしいのだけれど、
音のダイナミックレンジ、音色の幅がすごい。

それは「子供の情景」でも感じられたが、
やはり、「展覧会の絵」で最大に発揮された。

私は、高校生の頃、「展覧会の絵」が大好きで、
毎日はまって弾いていたことがある。
が、ある時、ラヴェルの編曲のオーケストラ版を聴いて
大ショックを受けた。
楽器の多彩な絡み合い、tuttiの重厚さ、
到底ピアノはかなわない。
負けた!!!と思った。
以来、ピアノで聴くのを避けるようになった。

が、今回は通しチケットを買ってあるので
イヤだとは言えない。

・・・・・・
ところが、感激してしまったのである。
別の意味でショックだった。

舞台に現れた時、ちょっとふくよかになったかな?
と思った。
展覧会を聴きながら、きっとこのためだったのかな?
と勝手に理解した。

確かに、あまり痩せてしまうと、音も細くなる。
鍵盤に体重を乗せようと思っても押し返される。
女性は骨格が華奢なため、肉付きの良いほうが
やはり音は良い。

とにかく、彼女の曲に対する思いがほとばしり出たような演奏だった。
ピアノに体当たりしているのに、割れた音はひとつもない。
気持ちよい。
繊細さとダイナミックさがうまく同居し、展覧会のそれぞれの絵を
映し出していく。

もう一度聴きたい。

彼女がプログラムノートに書いていたこと__

「音楽に浸っている時は、没我してしまうような感動に頻繁に見舞われる。
感心するものは世の中にたくさんあるけれど、感動するものこそが真に凄いことなのだ。
言葉にならないのに、形に残らないのに、なぜか心に残ってしまうものが、
本当に凄いものなのだと思う。
そういうものをいつも追い続けていきたい。」

2007-06-03 23:24 | コメント(0) | トラックバック(0)

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